テクニカル分析を行う上で、多くのトレーダーが用いるボリンジャーバンド。
トレンド系指標においては移動平均線に次ぐ、もしくは同等の使用度ではないとかと思われる。
多くの人が使うということは、それだけ意識されやすいということですので
ボリンジャーバンドは理解しておいて損はない指標の一つです。
ボリンジャーバンドとは
ボリンジャーバンド(Bollinger Band)とは、移動平均線とその上下に値動きの幅を示す線を加えた指標のことです。
1980年代にジョン・ボリンジャーによって発案された指標で、統計学の標準偏差を取り入れることによって出来ました。
ボリンジャーバンドの名前の由来は、諸説ではこの指標を発表する際に、名前を決めていなかったことや
『価格の大半がこの帯(バンド)の中に収まる』という指標であったことより
このバンドに自分の名前を付けたことによってボリンジャーバンドという名前となったとされています。
計算式
ボリンジャーバンドを求める式は以下のようになります。
上部バンド:単純移動平均線+2標準偏差(σ)
下部バンド:単純移動平均線-2標準偏差(σ)
となります。移動平均線と価格偏差に関しては以下のようになります。
単純移動平均線(MA):過去n日間の移動平均線
標準偏差(σシグマ:Standard deviation):ボラティリティー(volatility予想変動率)
$$ σ =\sqrt\frac{(n×価格)2乗の計-価格の計の2乗}{期間×(期間-1)}$$となります。
正規分布
ボリンジャーバンドにおいて統計学の観点から『正規分布曲線(別名:ガウス分布)』を用いることがあります。
正規分布曲線では、ボリンジャーバンド全体の68.27%が平均値±1σ内に、95.45%が平均値±2σ内に含まれるという性質があります。
そこで、「過去の統計から、市場価格は±2σのバンド内で動く」と想定されます。
統計学的には、相場が正規分布である場合、価格は以下のようなバンド内を動くと見なされます。
正規分布図
±1σ標準偏差内で動く確率:68.27%
±2σ標準偏差内で動く確率:95.45%
±3σ標準偏差内で動く確率:99.73%
※注意
この統計上の確率は、相場が正規分布である場合です。
連続性を持ちながら推移する相場は正確には正規分布とは言い難い為、
統計学のデータに誤差がある場合はあります。
見方・使い方
ボリンジャーバンドは、標準偏差内での価格変動が多く語られるため
2σや3σをベースとした逆張りで語られることが多いですが、
ボリンジャーバンド単体での3σタッチの逆張りは使えないことが多いです。
バイナリーオプションの様な単足取引などであれば使えることもあると思いますが
本来のボリンジャーバンドの見方としてはトレンドの発生を見抜く
順張り思考の指標となります。
ボリンジャーバンドの特徴としてはスクイーズ・エクスパンション・バンドウォークと呼ばれる3つの動きを
繰り返し構成されています。その状態から相場の様々な状況を判断することができます。
スクイーズ
スクイーズとは、英語で搾る・押しつぶすという意味です。
その名の通りボリンジャーバンドが絞られていくような状態を表します。
レートの値動きもバンド同様絞られる為にトレードには不向きになります。
しかし、このスクイーズは価格の収縮と共に次へのエネルギーを溜めることになるので
収縮期間が長ければ長いほど一気にトレンドになる可能性があります。
エクスパンション
エクスパンションはスクイーズの後によく見られる現象で、バンドの両端が極端に開くことを意味します。
相場のトレンドに勢いが出たと見ることができる形状で、価格は一気に上昇・下降する状態になります。
エクスパンションは両端にバンドが開いた場合のことを指すので
片側に開く場合などはエクスパンションとは見なさない為、注意です。
また両側にバンドが開くエクスパンションは一方向に勢いよく価格が推移しますが、
片側だけの場合は価格が上下する可能性がありますので
値動きの逆側のバンドの開きは重要になります。
バンドウォーク
上記のエクスパンション後、開いたボリンジャーバンドに沿って値が動く状態をバンドウォークと呼びます。
またエクスパンションをしなくても、値がバンドに沿っていくバンドウォークも存在します。
注意点
正規分布はあくまでも仮説です。
統計確率を安易に信じると大変なことになります。
統計学上の収縮と言う点においては逆張りに用いるということも可能ですが
ボリンジャーバンドが本来順張りの指標であるというのは
ボリンジャーバンドのセンターラインが移動平均線より形成されているというのを
冷静に考えれば気付けるはず。
ボリンジャーバンドのみで逆張りは辞めよう。