ストキャスティクス(Stochastics)とは

ストキャスティクス(Stochastics)とは、米国のチャート分析家のジョージ・レーンによって考案されたテクニカル指標です。RSIなどと同様に相場の買われすぎ・売られすぎを判断する分析方法で、オシレーター系指標の一つとして、多くの投資家の中でも人気のあるテクニカル指標です。

主に「%K」と「%D」の2本のラインを利用した、ファーストストキャスティクスと、「スロー%K(%D)」と「スロー%D」の2本のラインを利用したスローストキャスティクスの2種類があります。また、ファーストストキャスティクスは、相場の動きに素早く反応する為、短期売買向けでかつダマしに合いやすいという性質があります。その為、多くの投資家はその欠点を補う役割を持つスローストキャスティクスを用いることが一般的とされています。

考え方

現在の相場水準が、一定期間の変動幅の中で、どのような強さ・弱さ(売られすぎ・買われすぎ)なのかを見極める

『安値』からの相対的な位置
※『高値』からの相対的な位置は『William’s %R

計算式

$$ %K(n) =\frac{(当日の終値-過去n日間の最安値)}{(過去n日間の最高値-過去n日間の最高値)}\times 100\%$$

$$ %D(n) =\frac{(最新の終値-過去n日間の最安値)のm日間の合計}{(過去n日間の最高値-過去n日間の最高値)のm日間の合計}\times 100\%$$
⇒ %D=m日間の%kの単純移動平均線

※n=通常5日、9日、14日
※m=通常3日
スロー%D(SD)=x日の%Dの単純移動平均線

使い方・見方

主な売り買いのサイン

〇ファースト・ストキャスティクス(Fast Stochastics)

≪買いサイン≫
・%K・%D共に20%以下の時に、%Kが%Dを下から上抜いた時

≪売りサイン≫
・%K・%D共に80%以下の時に、%Kが%Dを上から下抜いた時

〇スロー・ストキャスティクス(Slow Stochastics)

≪買いサイン≫
・%D・スロー%D共に20%以下の時に、%Dがスロー%Dを下から上抜いた時
・逆行現象:強気の乖離(ブリッシュ・ダイバージェンス)
➡下降トレンド終焉示唆

≪売りサイン≫
・%D・スロー%D共に80%以下の時に、%Dがスロー%Dを下から上抜いた時
・逆行現象:弱気の乖離(ベアリッシュ・ダイバージェンス)
➡上昇トレンド終焉示唆

注意点

ストキャスティクスはオシレーター系指標の中で人気のあるテクニカル分析の一つではありますが、買われ過ぎ・売られ過ぎを判断するオシレーター系指標としては、レンジ相場には強いが、トレンド相場には弱いという性質は拭えません。

明確なトレンドが発生している際は、ストキャスティクスは天井・底に張り付いたままという状態になります。

トレンド時におけるストキャスティクス